
PXC Weekly Journal #31 2025/10/21
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2025.10.21

こんにちは!ピクセルカンパニーズ広報のYです。
今週も、AI・GPU・データセンター・半導体分野の注目ニュースをピックアップしてお届けします。
先週に続き、AIインフラを巡る競争は一段と激化しました。NVIDIAはTSMCとの協業を深め、米国内での先端GPU製造を本格始動。また、SuperMicroは“データセンターまるごと提供”という新たな事業モデルに踏み出し、GPUサーバー戦略をより包括的に進化させています。
各社とも、生成AI時代に不可欠な「電力・供給・主権」をテーマに新たな布石を打っており、中長期の投資判断にも直結する重要トピックが満載です。
それでは早速、今週のピックアップニュースをどうぞ!
ピックアップニュース
① NVIDIAとTSMC、米国で初のBlackwellウェハーを製造・公開
NVIDIAと台湾TSMCは、アリゾナ州の新工場で次世代GPU「Blackwell」の最初のウェハー生産に成功したと発表しました。Blackwellが量産段階に達したことを示すこのマイルストーンは、先端AIチップを米国内製造する初の事例となり、米国のサプライチェーン強化と“AI製造の国産化”を象徴します。フアンCEOは「近代史で最も重要なチップが初めて米国で製造された」と強調し、政府の産業育成策とも軌を一にする動きです。需要急増中のAI半導体を国内生産できる意義は大きく、地政学リスク低減や安定供給につながるため、投資家にも米国技術優位の継続を印象づけるニュースと言えます。
ソース:Nvidia、TSMC米国工場でBlackwellチップのウェハー量産開始
② OracleとNVIDIA、政府向け「主権AI」分野で提携強化
米Oracleは自社イベント「AI World」にて、NVIDIAとの協業を深め各国政府向けの「主権AI」ソリューションを推進すると発表しました。この取り組みの一例として、アブダビ首長国では約130億ディルハム(約5000億円)を投じて政府サービスをAI駆動に全面刷新する計画が進行中です。Oracleのクラウド基盤にNVIDIAのAI計算プラットフォームを統合することで、データ主権を保ちつつ高度な生成AIや多言語AIアシスタント等を安全に導入可能にします。各国で公的データの扱いに慎重な需要が高まる中、両社の提携は政府・公共分野でのAI活用を加速し、新たな市場を開拓する狙いがあります。これはNVIDIAにとってクラウド大手との関係強化による安定的なGPU需要獲得につながり、投資家にも長期成長ストーリーの一端として好意的に受け止められています。
ソース:Oracle AI World発表、Gulf News(UAE)
③ SuperMicro、データセンターまるごと提供&国内生産拡大
AIサーバー大手のSuperMicroは、新事業「データセンター・ビルディングブロック・ソリューション(DCBBS)」を発表し、必要な機器一式をワンストップで提供して“丸ごとデータセンター”を構築できるサービスを開始しました。サーバーやストレージから液冷ラック、電源・配電装置、管理ソフトに至るまで、データセンターインフラのすべてを自社工場で事前統合・テストして出荷するため、導入企業は構築期間短縮や品質向上が期待できます。加えて、同社CEOのリャン氏は「液冷技術で冷却効率を高め消費電力を最大40%削減できる」と述べ、最新GPU・CPUに最適化した省エネデータセンターを迅速に展開できる点を強調しました。さらにSuperMicroは米国サンノゼやテキサスの生産拠点拡張にも言及しており、旺盛な生成AI需要に応える供給体制強化と、一社完結型サービスによる付加価値創出で中長期的な収益拡大を図る戦略です。
ソース:SuperMicro、新ビジネスライン「DCBBS」でデータセンターを一括提供
④ TSMC、AI好調で過去最高益・強気見通しを発表
世界最大の半導体受託製造TSMC(台湾積体電路製造)は第3四半期決算で過去最高益を計上し、同社として6四半期連続の二桁増益となりました。生成AI向け最先端チップの需要が想定以上に旺盛なことを受け、2025年通年の売上成長率見通しを「前年比30%前後」から「35%前後」へと上方修正しています。魏徳琴CEOは決算説明で「AI需要は3ヶ月前の想定を上回る強さだ」と述べ、顧客から生産能力引き上げ要請が相次いでいると強調しました。実際この1ヶ月ほどでOpenAIとNVIDIA・AMD・Broadcomが総額1兆ドル規模にも及ぶ巨大契約を結ぶなど、AIインフラ投資の“メガトレンド”が継続中です。一部では「AIバブル」懸念も取り沙汰されましたが、TSMCの好調な業績と強気姿勢は需要の実態が依然堅調であることを示唆します。
ソース:TSMC、AI特需でQ3利益39%増・通年売上高見通しを上方修正
⑤ NVIDIAとInfineon、「800ボルト電源」でAIデータセンターの電力改革
ドイツの半導体大手InfineonとNVIDIAは、AIデータセンター向け電源アーキテクチャの刷新で協業しています。従来は各サーバーラックに多数の電源ユニットを載せ54ボルトの低電圧で供給してきましたが、近年GPU一基で消費電力が1kW超に達しラック全体では120kWから500kW規模へ急増、将来は1MW超も見込まれるため現行方式では非効率・不安定になりつつあります。両社が提唱する新方式では高圧直流800Vへの統一電源バックボーンを採用し、各GPU基板上で必要な電圧に直接変換する設計に転換。これにより配電ロスや発熱源を大幅に削減し、ラック内配線の簡素化で故障リスクも低減します。効率向上は電気代削減によるデータセンター運営コストの圧縮や環境負荷低減にも直結するため、AIインフラ全体を支える基盤技術として注目されています。
ソース:NVIDIA・Infineon、AIデータセンター電源を高圧直流化へ
世界の情勢と今週のまとめ
今週はNVIDIAとSuperMicroがそれぞれ次のフェーズに進む動きを見せた週でした。NVIDIAは米国製造と電源革新、政府向けAI市場の開拓を同時に進め、SuperMicroはサーバー単体から総合DCソリューションへと変貌を遂げようとしています。
TSMCやInfineonといったキープレイヤーの存在も引き続き重要であり、「どの企業がAI時代の“インフラの覇者”になるか」が今後の投資判断のカギを握ると言えるでしょう。
来週も、最新の注目ニュースをわかりやすくお届けします。どうぞお楽しみに!

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