未来への学びと責任、福島第一原発視察レポート
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2025.11.09
2025年9月、福島県・大熊データセンターのメンバーが福島第一原子力発電所の視察に参加しました。
本視察は福島の復興支援に携わる企業として、原発事故の実情と現在進められている廃炉作業について深く理解することを目的に、東京電力ホールディングス株式会社 福島第一廃炉推進カンパニー様のイベントに参加させていただいたものです。
事故から14年が経過した現在も続く廃炉作業の現場を直接見学し、安全管理やリスクマネジメントについて学ぶ貴重な機会となりました。

現地の撮影が難しい箇所が多く、以降は文字ベースでのレポートとなりますこと、ご理解いただけますと幸いです。
廃炉記念館での学び
視察は廃炉記念館からスタートしました。館内では、2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う原発事故のいきさつ、そして現在実施されている廃炉作業について、展示物を見ながら詳しく解説していただきました。
記念館はもともと原発の広報館として運営されていましたが、事故をきっかけに休館。その後、廃炉資料館として生まれ変わりました。エネルギーにゆかりのあるエジソン、キュリー夫人、アインシュタインの生家を模した特徴的な外観が印象的でした。
廃炉記念館の公式youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=nN-YRdCXqRo
該当施設をご存じない方も多いと思います。動画をご視聴いただき、興味を持っていただけると嬉しいです。
原発構内の視察
廃炉記念館からバスで国道六号を北上し、帰還困難区域に入りました。区域内の大部分は自然に還ろうとしている様子で、がれきなどの処理施設がある場所だけに人の手が入っている状態でした。
原発への入構前には、金属探知機による検査や線量計の貸与を行い、構内視察用のバスに乗車しました。夏場は熱中症予防のため、作業時間が早朝から昼過ぎまでとなっており、多くの作業員の方々が帰路につく姿が見られました。
構内では、処理水格納タンク、事故を起こした1号機から4号機、安全に冷温停止に成功した5号機・6号機、そしてALPS(汚染水浄化設備)や倉庫などを見学しました。原子炉のそばには見学用のデッキが設けられており、そこから炉の様子を直接確認することができました。
1号機から4号機のデッキ周辺は線量がまだ高く、長時間の滞在はできませんでした。一方、5号機・6号機のデッキからは、津波によってひしゃげたタンクや、処理水を海洋放出するポンプ設備を確認することができました。
視察の終盤では、ALPSで処理された処理水を実際に見せていただきました。透明で、線量計が反応する様子はありませんでした。この処理水を海水で600倍に希釈してから海洋放出しているとのことでした。徹底した環境への配慮が伺えました。
安全管理と放射線量
構内視察後は、放射性物質が体に付着していないか確認した上で退出しました。万が一付着していた場合は、皮膚であれば拭き取り、服であれば処分、髪の場合は剃るといった対応が必要になるとのことですが、視察後の検査で検出される例はほぼないそうです。
今回の視察で参加者が浴びた放射線量は最大0.01mSv/hで、これは歯科レントゲン1回分とほぼ同じ値だそうです。視察時に浴びる放射線の許容量は0.1mSv/hとされており、さらにその10分の1程度という安全な範囲でした。
学びと今後に向けて
私たちピクセルカンパニーズ・ピクセルハイが福島の復興支援として事業を展開している以上、原発事故について詳しく知るべきだという思いがありました。震災が発生した当時、ピクセルハイのメンバーの多くはまだ学生や若手社会人でした。事故についてぼんやりとしか知らなかった状態から、今回の視察を通して、より解像度高く理解することができたと感じています。
特に考えさせられたのは、BCP(事業継続計画)についてです。データセンターも発電所も、程度の差こそあれ「何があっても止めてはいけない施設」という点で共通しています。事故の経緯や要因、再発防止策から学ばなくてはいけないと強く感じました。
廃炉資料館でガイドの方が語ってくださった「巨大な津波を予想することが困難であったという理由で、福島原子力事故の原因を天災として片づけてはならず、人智を尽くした事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかった」という言葉が印象に残りました。現状、私たちは不測の事態に備えてどれだけ人智を尽くせているだろうか、と自問しました。
準備をしてしすぎることはありません。開業前の平常時に思いつくことは極力実行しておくべきだと考えました。また、電力を節約する余地があるなら積極的に取り組むべきです。そのような心掛けが、大局的に見れば発電所の稼働率を下げることにつながり、ひいては事故のリスクを減らすことにもつながるのではないでしょうか。
データセンター事業における責任
今回の視察を通じて、リスクの上に成り立っているのが発電事業であることを改めて実感しました。データセンター事業においても、井戸水の使用やテント設置などによる省電力化に取り組んでいますが、引き続き電力使用の最適化に努めてまいります。福島の地で事業を営む企業として、過去から学び、未来への責任を果たしていく所存です。
ピクセルカンパニーズは、今後も地域社会との共生を大切にしながら、安全で持続可能なデータセンター運用を実現してまいります。
(文責:ピクセルカンパニーズ広報チーム)
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